ECサイトから工場まで、DX化で顧客体験を大幅向上。オーダーメイド額縁を販売する老舗額縁メーカーのEC-CUBE活用術とは

マルニ商事株式会社
木村 知巳 様(写真左)

(制作・開発:株式会社システムフレンド)
朝山 俊雄 様(写真右)

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老舗額縁製造メーカーのマルニ額縁画材店様は、額縁というニッチな商品をより多くのユーザーに届けるため、インターネット通販の黎明期である1999年からECサイトでの販売をスタートしました。
ユーザーの購入体験をさらに向上させるために試行錯誤を繰り返し、オーダーメイドの額縁をネットで購入できるようシミュレーターを開発、また自社のDX化で工場との連携や工程の自動化を推進することで、オーダーメイドの商品販売ながら受注から納品までのリードタイムの大幅な短縮に成功しています。
その中心にはカスタマイズ性の高いEC-CUBEが欠かせなかったと言います。そんなマルニ額縁画材店様の取り組みを、開発パートナーである株式会社システムフレンド様と共にお伺いしました。

お客様情報

マルニ商事株式会社
1969年、栃木県足利市で額縁製造メーカーとして創業。1979年には小売業にも進出。額縁の製造から販売までを一貫して手掛けています。店頭販売に加え、1999年にオンラインショップも開設。20年以上にわたりEC事業を展開しています。

開発パートナー情報

株式会社システムフレンド
広島県五日市市に本社を置くシステム開発会社。WEB系を中心としたシステム開発を得意とし、2006年よりEC-CUBEを用いたECサイト構築事業を開始。EC-CUBEでのECサイト第1号を制作。

要件概要

課題

受注から発送までの期間を短縮すること。

解決策

EC-CUBE を活用し、ECサイトの購入から社内オペレーションを含めてDXを推進することで課題解決へ。

効果

納期の大幅な短縮を実現。

マルニ額縁画材店 オンラインショップ

額縁というニッチな商品だからこそ、ECに活路を見出した

オーダーメイドの額縁という大変ニッチな商品だと思いますが、それをECで販売しようと思われたきっかけや理由をお聞かせください。

木村 様:

額縁はサイズも色数も素材もまちまちなので、店頭に行ったからといって好みにマッチするものを見つけたり、いざ見つけられても在庫がなかったり、欲しいと思ったときにすぐ購入できる商品ではありません。そもそもニッチな商品ですから、地域によっては販売している店舗すら見つからないケースもありますから、購入するという思考に至らない方も多かったでしょう。また意外と重量もあるので、大きな額縁を購入して持ち帰っていただくのも大変です。どこからでもアクセスできるECサイトがあれば、オンデマンドで好みの額縁を選び、手元にお届けできるという利点がありました。

またコロナ禍に入り、どの業界でもECサイトの需要が大きく増加したことという実感があります。外出制限や店舗の営業短縮などによって商品を購入しに行ける場所がなくなり、オンライン上で探すという流れにシフトしていったのでしょう。実際、当社ECサイトもコロナ禍で新規ユーザーが増え、売上も拡大しました。

マルニ商事株式会社 マルニ額縁画材店代表取締役社長 木村 知巳様

好奇心と探究心が社内のDX化を加速

EC-CUBEを利用して、購入体験の向上に取り組んでこられたとお伺いしていますが、実際に取り組まれたことをお聞かせください。

木村 様:

私がECサイト運営で心掛けているのは「品質」、「納期」、「買いやすさ」、「感動」の4点です。品質は当社がこだわっているものですが、納期や買いやすさはEC-CUBEのカスタマイズで実現し、その結果としてお客様に感動を与えられていると考えています。

たとえば品質であれば画像の枚数を増やしたり、動画を掲載したりといったカスタマイズにより、お客様に商品の特徴や細かなディテールをわかりやすく伝えられるようにしました。またオーダーメイドの額縁は受注から製造まで通常1〜2週間ほどかかるのですが、当社はDX化を推進したことにより2営業日で制作して出荷できるようになりました。これは画期的なことだと考えていて、カスタマイズできるEC-CUBEを利用してDXを推進しなければできなかったことだと思います。

例えば、これは工場側のシステム化になりますが、フレームの計測やネジの固定といった工程にバーコードを導入して自動的に振り分けるシステムを作ったことにより、短い納期の実現が可能になりました。そもそもEC-CUBEからの受注情報からほぼ自動的にそういった振り分けまで行えるようになっています。

その他にも、オペレーションのDX化は、代表である私自身が興味を持って進めています。元々IT業界で働いていたこともあったので、たとえばバーコードはどういう役割を、どのように使えば業務軽減を進められるのか読み解いていくことは楽しかったですね。EC-CUBEではなんでもできると聞いていたので、EC-CUBEのデータをそのままバーコードに変換できるようなカスタマイズが可能であれば、お客様により早く商品をお届けできるようになると考えましたのがEC-CUBE利用のきっかけでもありますね。

朝山 様:

マルニさんのご要望は突飛なものではなく、いかに業務が自然に流れるようになるのかを考えられています。たとえば、商品の梱包サイズによって運送会社を変更するというオペレーションがあります。これに対してEC-CUBEをカスタマイズすることで、サイト内の商品情報を読み取り、適切な発送伝票を発行できるようにしました。マルニさんが手数をかけずに運送会社を選択できるようになったことで、工数の削減につながったと聞いています。

木村 様:

DX化を推進するためには、常に好奇心と探究心、成長意欲を持つことが大切だと気づきました。技術もどんどん進歩していくので、これからもオペレーションを改善し続けて、お客様に感動していただける購入体験をお届けしたいですね。そのためにも、より一層EC-CUBEを活用していきたいと考えています。

開発パートナー:株式会社システムフレンド 代表取締役社長 朝山 俊雄様

カスタマイズ事例

実際にEC-CUBEでカスタマイズされた事例を教えてください。

カスタマイズ事例1:額縁シミュレーターとの連携

木村 様:

当社サイトには、お客様が作品をアップロードして使っていただく「額縁シミュレーター」というサービスがあります。作品が入った状態で額縁の色やデザイン、台紙などを自由に変更できるので、完全な完成図をビジュアルで確認することができるんです。さらにお部屋の写真をアップロードいただければ、作品を飾ったイメージも確認できますし、保存やシェアも可能です。もちろんこのビジュアルのままご注文いただくこともできます。

朝山 様:

「額縁シミュレーター」はEC-CUBEとは別システムなのですが、どのようなシステムとも連携できるEC-CUBEだからこそ、こういった特殊なシステムとの連携が可能なのだと思います。当社ではこのシミュレーターから出てくるデータをEC-CUBEに流し込んで注文できるようにカスタマイズしました。

木村 様:

額縁を選ぶのは意外と難しいのですが、「額縁シミュレーター」を使うと初めての方にもわかりやすくて購入しやすいと思います。お子さまが描いた絵でシミュレートしていただくと、お子さまは自分の作品が立派に額装されるイメージを見て自尊心も高まるので、ぜひ活用いただきたいです。

額縁シミュレーター

カスタマイズ事例2:送料の自動表示

木村 様:

送料を自動的に表示するカスタマイズを依頼したこともあります。送料は商品のサイズによって変わるので我々が梱包時のサイズを設定することで、自動的に送料を表示できないかと考えたんです。ただ額縁は複数個まとめて購入いただくケースが非常に多いため、たとえば小さい商品が2個なのに、梱包材のサイズで判別して大きい商品の送料が表示されてしまうというエラーが発生しました。パターン別の設定事項が多くなりすぎて結果的に頓挫してしまったのですが、開発パートナーであるシステムフレンドさんには細かなニーズに沿ってカスタマイズを提案していただき、とても感謝しています。

朝山 様:

先ほど木村さんがおっしゃったように探究心と好奇心を持つことの大切さは私自身も感じています。ECサイトの制作にあたっては実際に、足利にある工場を見学させていただき、工場の様子を自分の目で見て、作業している方のお話を聞いてみました。すると木村さんが工夫したいとおっしゃる作業フローの裏側にある課題を把握できるようになり、解決するために最適なカスタマイズ方法を考えるきっかけにもなりました。これも探究心と好奇心がないとできないことですし、マルニさんに限らず、できるだけ工場や倉庫に足を運んで出荷の現場は見るようにしています。

EC-CUBEのカスタマイズ性を活かし、新規サイトでも使いやすさを追求

今後の抱負を教えてください。

木村 様:

当社のメインターゲットは作家さんですが、活躍の機会がなく残念ながら活動を辞めてしまう方も多いんです。私たちは今後、アートの総合カンパニーとして社会貢献をすることが使命だとも考えています。作品の販売や教室の開催など作家さんのサポートをすることで、業界全体のボトムアップ、さらには日本文化の向上の一助になるような活動をしていきたいです。

また、2023年4月には東京渋谷にサテライトショールームを出店しました。足利市の店舗には都内から来られる方が多く、サンプルが置いてあるショップが近くにあればお客様に便利に使っていただけるんじゃないかなと思ったからです。額縁の質感や色感は目で見ていただくことが大切ですので、リアル店舗で実物を見てネットで注文という流れを作っていきたいです。このほか新しいECサイトを作ろうという考えもあり、多くの方にとって使いやすいサイトにしたいと思っています。

朝山 様:

実は木村さんからのリクエストは、システムのパフォーマンスに関するものが多いです。少しでもサイトが重たくなると、監視ソフトより先に木村さんから連絡が来るほどで。我々としては機能面のカスタマイズにとどまらず、性能面を含めた使い勝手を向上させ、お客様が満足していただけるサイトをマルニさんと一緒に作っていけると良いなと思っています。

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