「オムニチャネル」と「物流市場」の理想の関係を探る
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「不在時に限って宅配便が届く」といった経験はありませんか?ネット通販の利用が拡大するに伴い、再配達の増加が問題視されてきています。利用者の利便性を損ねるだけでなく、物流業者のコスト増加や人手不足を招くため、国を挙げて検討するべき大きな課題として認識されるようになりました。
ネット通販の増加の背景として、店舗・PC・スマートフォンを連携して消費行動を支援するオムニチャネルの広がりが挙げられます。オムニチャネル展開を促進し、かつ、物流コストを削減するには、どうすればよいのでしょうか。
目次
オムニチャネルを取り巻く物流市場の動き
ネット通販は既に一大市場を築いていますが、いまだに成長を続けているのは驚くべきことです。年率2~3%の成長を続け、2015年には、国内の市場規模は10兆円を超えています。
成長を牽引しているのは、実店舗・PC・スマートフォンを連携されるオムニチャネルであり、セブン&アイやイオンなどのトップ企業が注力しています。
オムニチャネルとは?
オムニチャネルとは、実店舗・PC・スマートフォンなどの複数接点における顧客情報を連携させ、一貫した消費行動を支援する取り組みです。
実店舗で手にした商品をネット通販で購入する、スマートフォンで見つけた商品をPCで注文する、といったチャネルをまたがった消費行動が現代の特徴です。商品検索や在庫確認、購入に至るまでの全ての手続きが最適化され、ユーザーにとって最も便利な体験を提供するのがオムニチャネルです。
これまでも実店舗やインターネット通販サイトが並行して運用されてきましたが、取扱商品や物流の連携が限定的だという指摘がありました。取扱商品が異なるため、サイトで閲覧した商品が実店舗で買えなかったり、顧客情報が共有されていないためにクロスセルの機会を逃したりといった機会損失が発生していたのです。オムニチャネルの考え方では、顧客一人一人を中心として、最適化した情報を提供し、企業とユーザーの結びつきを強めるのが狙いです。
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オムニチャネルが引き起こす物流業界の課題
オムニチャネルによって高度化されたネット通販が増加するに従い、物流に関する課題が挙がってきました。特に、居住者が不在時に配達された場合に、再配達が必要になってしまう問題が顕在化してきました。
再配達のコストとその解決策
ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社が実施した調査によると再配達率は19.5%に上り、物流コストの増加を招いています。具体的には、宅配ドライバーが不足し、宅配便料金の値上げにもつながる可能性が示唆されてきました。国土交通省が再配達の削減に関する検討会を開催するなど、国を挙げて対応するべき課題になっています。
具体的な対応状況
再配達を削減する手段として、受取人が都合の良い時間に受け取りができる「コンビニ受け取り」や「宅配ロッカー」に期待が集まっています。
宅配業者による、宅配ロッカーの設置
ネット通販や宅配業を含めた複数の業界が、宅配ロッカーに関連する様々な取り組みを行っています。
日本郵便と楽天、及びコンビニエンスストア各社でも、連携が始まっています。
楽天市場で購入した商品が日本郵便の配送サービスによって配達され、その後、ローソン・ミニストップ・ファミリーマートの全国2万5300店舗で受け取れる仕組みです。
ヤマト運輸は、一方で、「オープン型」の宅配ロッカー「PUDO」の展開を始めています。PUDOではヤマト運輸に限らず、佐川急便や日本郵便などの荷物を受け取ることが可能です。全国の駅、百貨店、コンビニエンスストアなどで2022年までに5000か所への設置を計画しています。
交通機関・小売業における、宅配サービス
人の往来が多い場所であれば、利用者が立ち寄りやすいため、宅配ロッカーの設置場所になりやすいと考えられます。実際、JR東日本が主体となり、首都圏の100駅に宅配ロッカーの設置を行っています。利用者がヤマト運輸と日本郵便に再配達を依頼する際に、駅の宅配ロッカーを指定できる仕組みです。
その他の新たな展開
オムニチャネルの新たな展開として、ユニクロの取り組みが知られています。ユニクロの公式オンラインストアで購入した商品をセブンイレブンの店頭で受け取るサービスです。従来、店舗展開を中心にしていたユニクロが、店舗を介さない購入者の利便性を高める方向へと舵を切ったとして注目を集めました。
まとめ
オムニチャネルの考えが広がり、実店舗とPC、スマートフォンを連携させる仕組みが増えてきました。それに伴い、物流への負担が増し、再配達の増加によるコスト増加・人手不足といった問題が顕在化してきています。
日本通運やヤマト運輸を始め、物流関連企業がそれぞれ工夫を凝らした宅配サービスを開始している他、楽天によるドローンを活用した配送サービスや、日本郵便とファミリーマートが開始した越境EC向けサービスなど、物流サービスの多様化が益々進んでいくと見られています。
ネットショップに欠かせない物流事情。今後も、配送効率向上の取り組みについては要注目です。
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